問 題
1・2・3章
1.先生は物理学,機械工学、トライボロジーを専門としてきて、日常生活、趣味などとの関連を見つめ直すと新しい見方、発見ができて非常に感動することがある。一方、趣味、特技を持つことは人生を豊かにし、個性の表現、自信にもつながる。そこで、諸君の生活、趣味、特技を見つめ直し、その魅力を分析し文書にまとめ、それと機械工学、トライボロジーとの関連を考察してみてください。
2.「トライボロジー」という学問の、a)他の学問(例えば材料力学、熱力学と比べて)と異なるところ、特色、b)機械工学における役割を述べよ。
3.ストライベック線図を描き各潤滑領域を書き込み、また、表面粗さとの対応をその線図に書き込め。
4.アモントン−クーロンの4つの法則を示し、そのうち実際の摩擦で成り立たない場合を示せ。
5.次に示す摩擦の分類の表を記入し、空欄を埋め完成せよ。
摩擦の分類
| 簡単な摩擦の
メカニズムのキーワード | 摩擦係数の
おおよその値 |
乾燥摩擦
さらに2つに分類
(両面同硬度)
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大気圧中
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境界摩擦(潤滑) | |
流体摩擦(潤滑) |
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6.重量W,半径rの柔らかい円筒(せん断強さs,塑性流動圧力Pf)を硬い平面上ですべらせるとき、a)真実接触面積A、b)摩擦係数μを題意の記号で示せ。c)このような摩擦係数の解釈を何説というか。
7.次の語句を説明しなさい。
a)スティックースリップ b)FM剤
c)EP剤 d)吸着
4章
8.摩擦面の表面損傷の主なものは「摩耗」であるが、摩耗形態からの種類を4つあげ、それぞれの発生する機械の部品あるいは工作法を述べよ。
9.次の語句を説明しなさい。
a)比摩耗量(教科書の記述は間違いで講義ノートを参照のこと)
b)フレッチング摩耗 c)フレーキング
5・6章
10.次に示す潤滑剤の分類の表を記入し、空欄を埋め完成せよ。
簡単な潤滑
メカニズム |
潤滑剤分類 |
長所、用途 | 潤滑剤2,3例
または分類 |
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潤滑油
さらに3
つに分類
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鉱油 |
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牛脂、なたね油 |
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グリース |
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固体潤滑剤 |
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11.次の語句を説明しなさい。
a)35SUS(工業用粘度計) b)VI剤
c)増ちょう剤
12.潤滑油粘度は温度上昇、圧力上昇により増加するか、減少するかそれぞれ答えよ。また、温度ー粘度関係式(名前も)、粘度−圧力関係式を示せ。
13.表に示すトラクション油の常圧物性より、
a)密度は温度に対し直線的に変化するとし、ワルターの式を用いて、24℃の密度=900kg/m3のとき粘度(mPa・s)を求めよ。b)24℃で高圧粘度を測定したところ、0.22GPaで106300 mPa・sであった。粘度ー圧力係数αを求めよ。
40℃ 100℃
動粘度, cSt 31.73 5.75
14.自動車用に市販されているエンジン油で、10W−30、SEの規格の、それぞれの記号、数字の意味を簡単に説明せよ。また15Wー40とどちらが省エネルギーか。なお両方とも流体潤滑とする
15.最近の自動車用エンジン油は10Wー30のようにほとんどがマルチグレード油であるが、a)「マルチグレード」とはどういう意味か、b)シングルグレード油と油成分の相違は何か。
7・8 章
16.次の語句を説明しなさい。
a)ゾンマーフェルト数 b)偏心率
c)ジャーナル軸受
17.2次元のレイノルズ方程式を初等的に導く場合、p.91図7.4のような微小要素の力の釣合から求まる。それには2つの関係式を用いるが、a)その名前と図中の記号および単位時間の流量Qを使った式を示しなさい。
18.ジャーナル軸受について、油膜厚さ最大位置の角度を0として圧力と角度の概略図を次の仮定のときについて描け。a)ゾンマーフェルトの境界条件、b)ギュンベルの解
19.弾性流体潤滑(EHL)理論は流体潤滑理論にどういうことを考慮した理論か2つ述べなさい。

20.図のように同じ材質、寸法の2円筒を図中の運転条件でトルクを伝達するとき、@潤滑油のない場合、A潤滑油の介する場合について下記の問に答えよ。
(回転方向も矢印で示すこと)。
a)接触部表面の変形モード(形状)の概略図
b)圧力分布の概略図
c)a),b)を求める際の基礎になる理論名
d)@の場合の接触面積と平均圧力
e)Aの場合の最小油膜厚さ。ηo、αは
13.で求めた24℃の値を用いよ。
21.トラクションドライブについて
a)トラクションドライブとは何か説明しなさい。
b)歯車伝達機構と比べたときの長所、短所を述べよ。
c)近年、自動車用無段変速機として実用化の見通しがついたキーテクノロジーを2つ書きなさい。
22.金属タイプの高圧発生装置と比べて、ダイヤモンドアンビルセル装置は
a)どういう特色を持つか、b)またそれはトライボロジーにどう貢献できるか。

23.右図の遊星ローラ変速機は直径の等しい5つの回転円筒とAの外輪リングで構成され、Bは4つの円筒を+字の板で連結されたものとする。リング、5円筒、+字板は各中心の●で回転でき、接触点ではほとんど滑らない。
下記の問に答えよ。
a)Aを回転固定、Cを入力、Bを出力とすると角速度比(出力/入力)を求めよ。
b)上記でA,B,Cと回転固定、入力、出力の組み合わせはいくつあるか。それぞれの変速比は? それらを下記のような表にしてまとめなさい。
固定 |
A |
B |
C |
入力 |
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出力 |
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角速度比
分数は減速)
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c)遊星ローラを用いた無段変速機は可能か、その使用上の制限はあるか。
可能な場合ハーフトロイダル無段変速機と比べての長所短所を述べよ。